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台湾人目線で見た台湾

【2022.4.26】 25日の日経「コロナ感染者5,000人超」の違和感

台湾コロナ感染者グラフ

引用:台湾の感染者推移 | 新型コロナ データサイト (gutas.net)

昨日の日本経済新聞に「台湾の感染者数が1日あたりとして初めて5,000人を上回った。」という記事がありました。21日に私がブログに書いたときは2,700人でしたので数日で倍増です。

すごいんだなあ、と思えばそれまでですが、何か納得できません。記事の主旨は、「3月上旬まで感染を抑え込んだが、ビジネス客の受入再開や隔離期間の短縮により、感染が急拡大した」とのこと。因果関係の根拠は不明ですが、個々の事実は間違いではないのでしょう。しかしこの不納得感はいったいなぜでしょう。

現在のコロナウィルスは初期のものから変異しています。感染者数という共通の数字で比較すると分かりやすいのですが、「感染者数の意味」自体が変わっています。ニュースが「事の重大さ」を正確に伝えるのが目的なら、「KPI」を変えるべきです。政府は、自覚症状のない方は99.76%という数字も発表しています。つまり発症率や死亡率も併せて報道しないと、「事の重大さ」の理解について新聞が社会をミスリードしてしまいます。

(中央の突出部分が昨年7月の感染急拡大。死亡率が現在と全く異なることが分かる。)

初期は「コロナ風邪説」は危険だと私は思っていました。でも今はいたずらに恐れ、あらゆる活動を過度に委縮させることの方が危険に感じます。ロックダウンの上海が見事な例です。自殺者、餓死者、人工透析できずに亡くなる方の方が、コロナによる数名の死者よりも圧倒的に多そうです。

ふと、日本での台湾の地震報道を思い出しました。台湾ではよく地震が発生します。その度に大勢の知人が連絡してくれます。ありがたいことです。しかし最近多くの地震は東海岸で起きています。台湾は3千メートル級の山々268峰に遮られた、西海岸と東海岸に分かれます。ほとんどの人は西海岸に住んでいます。東海岸はフィリピンプレートが直接ぶつかり地震も多いのです。

コロナの数年前の春節(旧正月)に、私は東海岸の中心都市である花蓮に居ました。年間最大の書き入れ時なのに宿は閑古鳥。この地震で花蓮ではたった一棟のホテルが傾いただけですが、マスコミが大地震のようにその建物ばかりを繰り返し報道しました。台湾全土に大地震が来た印象を与えました。

花蓮地震の写真

引用:自由時報
習慣地震也心驚 花蓮人:這輩子第一次遇到樓倒! – 生活 – 自由時報電子報 (ltn.com.tw)

花蓮の街中では、被害の様子は微塵も見られませんでした。「被害地域の状況はこうです。一方、中心部は通常通りこんな状況です。」と報道することは不可能なのでしょうか。可哀想なのは花蓮の観光産業の方々です。

ちょっと違うかもしれませんが、コロナとマスコミ報道を考えた時に思い出しました。

さて日経の記事の最後が、さらに違和感を増幅します。「コロナ対策の優等生だっただけに、当局は難しい対応を迫られている」と結んでいます。間違いではないです。でも何が言いたいのでしょうか。4月18日の私のブログで書いたように、政府は世界の状況を鑑みウィズコロナに方針転換し、人口の15%以下に感染数を抑えることを目標にしています。それは報じていません。まとめ方が雑と言わざるを得ません。

2022.4.19 陳時中氏が、コロナ感染率を15%以下にする目標を発表のサムネイル画像

引用:台湾の金融経済誌「工商時報」4.19号の記事の部分写真

政府は様子見しながら水門を開けているのです。記事では単純に「見込みが甘かったから失敗した、さあ大変だ」というふうに読めて仕方がないです。不安をあおるだけなら止めてほしいと思います。

今回は、ある記事につい熱くなってしまいました。日本から見た台湾はステレオタイプですが、実際はもう少し複雑です。現地の現実に根差した記事をお願いしたいところです。

かつて私が日本にプロデュースした、元台湾大学病院の感染症の専門医で100万人のファンがいたブロガー林氏璧氏の記事も、併せて読むことをお薦めします。
何時可以去日本?林氏璧揭「更近了」原因:拚完這場一起去 (msn.com)

 

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