台湾販促の常識

SALES PROMOTION

台湾人の消費行動

台湾は商売の国

中華圏の人々は生まれついての商売人。台湾人も例外ではありません。消費者は常に値段にシビアで、売る方も「盛る感じ」(台湾では大事です)を表現し、様々なキャンペーンを常に打ちます。「買一送一」(一つ買うともう一つプレゼント)は、ただ割り引くのではなくさらに買わせるという、最も台湾らしくかつ一般的な割引方法です。肌に商売が根付いている台湾でのキャンペーンの密度と回数は日本企業の比ではありません。

台湾の町並み

本来台湾の旅博はPRよりも販売の勝負の場

台湾での旅博の風景
台湾での旅博の風景
台湾での旅博の風景
台湾での旅博の風景

暦と連動する消費活動

台湾には太陰暦が生活に残っており、日本で有名なのは春節(旧正月)です。他にも、端午節や中秋節など日本人にもなじみのある節があります。しかしその意味は日本と異なります。例えば、端午節は子供の日と関係なく、中秋節は月見よりバーベキューを行います。台湾で独特な「周年慶」は年末バーゲンです。既述のキャンペーンは無秩序に行われるのではなく、このように生活のリズムや季節感、つまり暦に沿って消費活動を促しています。最近は春になると小売店で「桜キャンペーン」が行われます。実は、台湾には日本のような桜はありません。日本の桜のキャンペーンなのです。いかに台湾人の日常生活に、日本が存在しているのかがわかります。

台湾人の消費活動は暦と連動する

台湾人の消費活動と歴の関係性を表した図

台湾のメディア

台湾のメディアは日本と異なる

台湾にも、テレビ、新聞、雑誌、デジタルメディアなど、日本と同様のメディアが存在します。しかし各メディアの実力やポジションは、日本と大きく異なる場合があります。大切な予算を無駄にしないように実態を知っておくべきです。特に近年マスメディアの凋落が激しく、有名テレビ番組の視聴率は、なんと0.1~0.3%台。日本とは軽く二ケタ違います。台湾の家庭には、地上波以外に百チャンネル近いケーブルテレビが普及しており、若者はYouTubeを見てもテレビはあまり見ません。あくまでも感覚値ですが、日台メディアの比較をグラフ化しました。

日本と台湾のメディア比較

日本と台湾のメディア比較の図

※上記グラフはIBCの感覚値によるもので、数値的な正確性は保証されません。

凋落するマスメディア

インバウンド広告では人気の旅雑誌ですが、人気の雑誌広告に数百万円使っても、発行部数はコロナ前で実質2、3万部程度です。「1リーチコスト」(一人の台湾人に見せるためのコスト)でみると、マスメディアでは@100円~300円程度も珍しくありません。新聞などの紙媒体は特に力を失っているといえます。台湾で30年の歴史がある最も人気のある旅雑誌は、コロナ禍の影響もあり廃刊となってしまいました。市場が小さいだけに、世間のトレンドがすぐに数字に反映されるのが台湾の特徴といえます。日本の将来を予見しているかもしれません。

台湾で販売されている雑誌
台湾で販売されている雑誌

マスメディアからデジタルメディアへ

一方、バナー広告やリスティング広告など、デジタルメディアの広告料金は世界標準といってよく、日本とさほど変わりません。基本的に小額から無限大まで予算投入できるのがデジタルメディアですが、実際は、YouTube広告でもライン広告でも、最低でも100万円以上のまとまった金額を管理しながら投資するのが一般的かと思われます。マスメディアの凋落に触れましたが、レガシーのマスメディア、特にテレビは単独ではなく、番組名を冠したデジタル版とセットでの提案が常識となっており、人気番組ではネット版の方が多くみられているのが一般的です。

一番人気の旅グルメ番組「食尚玩家」の紹介

SNSフォロワー258万人。月間リーチは888万人。
月間総アクセスは1,157万人

旅グルメ番組「食尚玩家」の図
旅グルメ番組「食尚玩家」の図
旅グルメ番組「食尚玩家」の図
旅グルメ番組「食尚玩家」の図

SNSとブロガー

SNSが老若男女に浸透

SNSが老若男女に浸透

台湾でのSNSの年代別使用率を表した図

台湾は居住地域が狭いせいか携帯電話の普及が早く、スマホも日本より広く普及しています。 その背景もあってか、SNSの普及は日本の比ではありません。55歳以上のFacebook利用率は、なんと81%という調査結果もあります。ちなみに日本の平均は30%です。またラインの普及も激しく、ビジネスでは名刺交換よりもライン交換。8年住んだ私のライン友達は500人、グループは300を超えました。台湾で、特に個人市場に訴求するには、Facebookは避けて通れない王道といえます。

日台のSNS比較

日本と台湾のSNS使用率の比較

変わりゆく台湾ブロガー

台湾ブロガーは、台湾の販促ではブランドになった感があります。本来ブロガーの活動の中心は、ブログに記事を発表することですが、ブログでSEO効果を狙うよりも、速報性のあるSNSのニーズが高まり、結果、台湾ブロガーはSNSを最もうまく活用しているマーケッターといえます。

10カ国で販促をしてきた私の肌感覚ですが、台湾はアジアで最もブロガーが大衆に影響力を持っている国です。香港などは、ブロガーの記事を信じない国民性があります。台湾人はブロガーの声に素直に反応しますが、熱しやすく冷めやすい国民性ともいえます。

現在のブロガーは第4世代といわれますが、第5世代に突入しているかもしれません。5年前とはかなり様相が異なります。一説には6万人といわれる台湾ブロガーですが、玉石混交状態で、ファン数だけでは実力も読めなくなっています。今後はオールマイティなブロガーよりも、特定の地域やジャンルに詳しいブロガーが、限定された領域で力を発揮するでしょう。つまりクライアントとのマッチング精度を高めることが重要となっています。

ブロガーをメディアとしてしかみないクライアントは多いのですが、ブロガーはマーケッターであり、アドバイザーです。まだまだ彼らの実力は引き出せると感じています。

ちなみに、YouTuberとブロガーの違いが良くわからないという方が多いのですが、端的に言えば、YouTuberは芸能人でブロガーは新聞記者です。ファンの年齢層も異なります。

台湾人が出発前に得た旅行情報源で役に立ったもの

台湾人が出発前に得た旅行情報源で役に立ったものを表すグラフ

<訪日外国人消費動向調査2018(観光庁)>

おわりに

私が日本からWi-Fiルーターという商品を持ち込み、売れない日々を過ごしていた時に、初めの普及の端緒を作ったのは台湾人ブロガーでした。しかしその後の普及は、台湾の大企業とのコラボレーションでした。私は「企業メディア」と呼びますが、大企業は、数百万人から1千万を普通に保有しています。

企業メディアとは ― 銀行のATMで割引券!?

台湾のATMの写真
台湾のATMの写真
台湾のATMの写真

私は、1980年代から台湾に出張していましたが、住み始めたのは8年前。そこで気づいたのですが出張と住むのでは大違い。やはり台湾人の目線で生活することが、新たな販促手法に気づくきっかけでした。因みに、台湾の銀行とは17行と提携していましたが、割引券がATMからも配布されて驚きました。日本にいて日本人同士で考えても気づけない手法です。

その後、桃園空港だけで6店舗出店し、販売にもブランディングにも大変有効でした。その背景には、出国者のほとんどが桃園空港経由という「人口の凝集性」がありました。リアルタッチポイントでも大変有効な国だと実感しました。

お話ししたいことはまだまだあります。ぜひお問い合わせコーナーからご相談ください。

台湾と中国の比較図