なぜ台湾なのか

WHY TAIWAN?

台湾インバウンドの経済的価値

日本をよく知る超親日国
日本の地方まで訪問する
地理的に日本から近い:直行便の多さ

インバウンドマーケティングにおけるターゲット選定の計算式

対象国を選ぶ際、つい表面上の訪日人数統計が気になりますが、長期的なスパンで見ないと正しいターゲットを見誤ります。下記の式を参考にされてください。

インバウンドのCLTV(Customer Life Time Value 顧客生涯価値)=【訪日人数】x【訪日当たりの宿泊日数】x【訪日リピート率】

さらに地方の場合は訪日リピート率が重要で、リピート率が低いと首都圏と関西圏しか訪問しません。台湾人にとって、日本は日常生活の延長線上といえ、日常に日本訪問が存在している珍しい国です。幼少期は親と、成長後は友人と、成人後は恋人と、結婚後は家族と、高齢後はファミリーで、ライフステージが変わっても常に日本を訪れます。極めてCLTVの高い顧客といえます。

食と旅に強い消費意欲を持つ国民性

中国、韓国、台湾が不動の訪日ベスト3
台湾人にとって訪日はもはや海外旅行ではなく、日常の延長線上

訪日外国人数推移

訪日外国人数推移のグラフ

出典:日本政府観光局(JNTO)統計から加工

台湾は常に訪日トップ3に入っている国です。2019年度は、人口2,350万人のうち、実に1,600万人が海外旅行にでかけ、なんとそのうち約500万人が日本に渡航しています。日本の人口の五分の一の国の海外旅行者数が、日本と同規模なのです。彼らの旅と食への意欲は日本人以上といえます。

インバウンド事業で、ぜひターゲットとすべき必須市場の一つです。しかも、中国人のように首都圏に集中せず、韓国人のように九州に集中せず、東北や北海道まで遠い地域にもまんべんなく訪れています。インバウンドは地方活性化の切り札ですが、だからこそ台湾市場は重要なのです。

2019国別訪日人数の割合

2019国別訪日人数の割合のグラフ

台湾人は延べ滞在日数が長い

3日以内の日本での滞在者数は、
韓国の34%に対して台湾は4%
4日以上の滞在は73%と長い

訪日外国人滞在日数のグラフ

出典:日本政府観光局(JNTO)統計から加工

JNTOの統計によると台湾の訪日客は、4日~13日間滞在。7~13日間と合わせると73%。一方、3日以内の滞在者は4%のみです。旅行会社のパッケージでも、中心は5日間か6日間です。

日本をじっくり楽しもうという台湾人が多いようです。訪日人数が二位でも滞在日数が短い韓国ですが、延滞在日数では台湾が抜いて二位になります。ビジネス訪日が多い中・韓に比べて、9割以上が観光目的であることも見逃せないポイントです。

​韓国も、台湾と同じように地理的に日本に近く、多くの方が日本を訪れています。しかし3日以内の短期旅行の割合が34%を占め、消費金額も低いのが現状です。訪日入国者数の裏側にある、実態の数字まで精査してターゲットを決めることが重要です。

2018年主要三国の国内の延宿泊人数

2018年主要三国の国内の延宿泊人数を表すグラフ

高いリピート率=長期間では高単価かつ地方を訪問

台湾人の訪日リピート率は、中国人の二倍以上
訪日台湾人の9割近くがリピーター

日本への来訪回数比較のグラフ

出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成28年10-12月期から加工

JNTOの調査によると台湾人訪日客の84%が2回目以上のリピート訪日客で、なんと10回以上訪日されているかたも19.5%もいらっしゃるというから驚きです。 ​​これは、中国訪日客と比較すると明瞭です。中国からは62.8%もの訪日客が初めての訪日で、「今回の旅行は最初で最後の日本旅行」となるケースも多いようです。これには中間層にとっては未だに海外旅行は高額で何度も行けないという経済的な要因や、そもそも中国人にとって日本が特別に人気のある地域ではなく、人気訪問先が分散していることにも原因があります。 ​台湾に住むとよくわかるのですが、台湾人同士の会話では「今年の海外旅行はどこの国に行く?」ではなく、「今年の日本旅行はどの地方で何をやる?」という会話が自然に行われています。日本が大好きで​リピーターがほとんどの台湾人をインバウンドのメイン・ターゲット市場にすること、これはごくあたりまえなことなのです。

日本への渡航する頻度のグラフ

出典:2016年台灣E-ICP年度消費者ライフスタイル傾向研究

日本と文化的に近く、日本の地元にも受け入れられる人々

台湾は50年間日本であった国で、歴史的に日本と深い繋がりがあります。台湾人にとって日本は日常の延長線上といえます。彼らは日本人の気質や日本文化をよく理解し、日本人の中に溶け込みながら、地方の深い魅力までも心から謙虚に楽しみたい人たちです。昨今、台湾をインバウンド観光の対象とする自治体が増えています。

新旧の日本を愛してくれる安定感

台湾へ訪問されたことがある方は、誰もが台湾人の親日を感じたのではないでしょうか。日本の人、日本の商品、日本の料理、彼らが日本という言葉を語る時、どこかプレミアムな感じを醸しています。

そのベースは、50年に及ぶ日本統治時代に培われたものです。最近は、統治時代に世界一のダムを築いた、八田与一さんの名が台湾から逆輸入されています。少し前には、哈日族(ハーリーズ)という言葉が流行り、日本好きの若者が流行をリードしたこともありました。若い世代では、漫画、アニメ、映画など、現代のサブカルチャーから日本好きになる人が後を絶ちません。新旧両方の台湾人にとって「日本」自体が一種のブランドになっているといっても過言ではありません。

このようなベースがあるため、日台の関係は民間も政府間も安定していますし、それ以上に困ったときに助け合いながら親密度を増しています。苦労して築いたインバウンド観光が、崩れ去るリスクが低い国といえます。

日本人に近い価値観を持ち、他人に迷惑をかけない

日本の文化を理解していることは、台湾人にとってある種のステイタスです。醤油は寿司はネタに漬けるかシャリに漬けるか、台湾で話題になりますが、ある意味これも日本の食文化です。台湾人は、日本人の文化や考え方を理解し、日本人に認められたい意識があります。

日本人は、周りの人に迷惑をかけないように教育されてきました。その精神は、台湾人と相通じるものがあります。他の方の気持ちを尊重する、その価値観を理解せず傍若無人なふるまいをして日本人に蔑まれることは、台湾人にとって恥ずかしいことです。

日本では日本のルールを理解し、例えば回転ずしならそのお店のシステムを理解して、日本人に溶け込んで日本を楽しみたい。それが多くの台湾人の考え方です。

既存のお客さんが減るリスクが少ない

インバウンドの誘客を行う場合、もちろん既存のお客さんの売上の上に、新たな収益を生むことを意図していると思われます。しかし実際はどうでしょう。

先日、ある温泉施設の本拠地が閉鎖されました。自治体からの借地権の期限切れが理由でしたが、そのニュースに対する、日本人の書き込みは驚きでした。インバウン客が増えて落ち着いた雰囲気がなくなった。不衛生になった。だから行かなくなった。コメントの大半が、その施設を支持しないという内容で溢れていました。

世界には様々な人々が居ます。状況によっては、既存のお客さんが逃げてしまうかもしれない!?というリスクが常にあることを忘れてはなりません。

台湾市場での販促のコスパが高い国

台湾は九州程の面積に、日本の人口の1/5が居住しています。台北など北部の都市だけで全体の過半数を占める、人口凝集性のたいへん高い国です。訪日人口の市場にリーチするには、プロモーション効率が非常によい国といえます。位置的に中華圏への足がかりとなるばかりか、アジア圏サークルへの入り口にあります。繁体字中国語を使うため、香港へも同時にリーチ出来る特徴があります。

川上市場へのリーチの効率は驚異的な密度

川上市場へのリーチの効率を表した図

海外旅行、訪日観光客層へのリーチ効率の高さ

  • 人口の2,350万人の65%、年間1,600万人が出国
  • 全人口の5分の1、出国者の3分の1,490万人が訪日

参考に中国を見てみましょう。2019年中国から960万人もの方が訪日しましたが、14億の人口のうちわずか0.7%です。中国人にとって日本が一番の人気国ではなく、様々な国を旅行したいニーズがまだ強いようです。

日本では、中国人の誘客への期待は高いでしょうが、ずば抜けて人口が多く(台湾の60倍)、国土も広大で(台湾の330倍)、日本への関心が一番ではない国での販促はなかなか厳しく、「砂漠に水を撒く」ということばことが生まれたくらいです。結局はBAT(百度、アリババ、テンセント)など、ネットを使う選択肢に限られてきますが、ネットの中の競争もし烈です。

​一方、台湾の人口は2,350万人。その内、68%の1,600万人の方が海外渡航しています。さらに驚くことに、出国者の1/3が訪日客です。人口の21%もの台湾人が訪日した計算です。数十回のリピートは普通です。​

このように数値で見た台湾は、川上市場での密度の濃い、効率的な販促が可能な国だといえます。そして販促効率が高いということは、当然、プロモーションのコストパフォーマンスが高い国であるということです。