今後のインバウンド

INBOUND INNOVATION

コロナはきっかけに過ぎなかった

激変していた台湾人旅行者の意識

台湾人の日本旅行の意識は10年で大きな変貌を遂げ、成熟のレベルに達しています。日本のローカルな地域を、少人数の仲間で周ることが、今の台湾人旅行者のニーズです。それに追いつけないのが台湾の旅行産業ではないでしょうか。特に大手旅行会社は、航空座席を年間契約で大量に仕入れるため、団体重視の世界から構造的に抜け出せません。よって訪問先選択には、集客しやすい知名度が重要でした。

訪日台湾市場10年の変化

訪日台湾市場10年の変化を表すグラフ

訪日外国人消費動向調査(観光庁)からデータを加工

変われない台湾旅行産業、変えるべきインバウンド施策

本来インバウンドは、地域の活性化の役割を担っていたはずです。実態のインバウンドは、大型施設が中心で宣伝もマス志向が強く、地元の大型観光施設や大手広告会社が活動の中心といえます。さらにインバウンドを推進する自治体は、「旅行者」よりも「旅行社」への働きかけが主な活動でした。

従来の日本の自治体インバウンドは 大規模&中央型

従来の日本の自治体インバウンドを表す写真

具体的にはどうしたらよいのか

川上から川下まで“小型・地方化”への変革

コロナ後こそ、インバウンドを本来の地域活性化と個々の旅行者主体の活動に戻すチャンスです。しかし既存の旅行産業の大型の仕組みでは、ローカル地域への個人誘客は限界があります。これからのインバウンドのキーワードは ‟Small&Local” 。川上での集客から、川中の地上手配、そして川下の旅行スポット訪問迄、 ‟Small&Local” の発想で、地域への誘客のための一貫した仕組みを新たに構築することが必要です。するとこれからは、日本中のあらゆる地域にインバウンド誘客のチャンスが到来します。

地域誘客のためには、台湾側の組織連携が重要

地域の対応は、旅行の主役である台湾人旅行者の目線でまず現状を理解し、そして市町村レベルの自治体を中心に、地域内のDMOや観光協会などの組織間連携、そして地域外の自治体連携により、上記の仕組みづくりを推進することが望まれます。単独の施設や自治体が「点」で訴求するよりも、地域が連携して「面」の魅力を市場に訴えることが、誘客実現への近道と思われます。

地域への誘客のための新しい連携

地域への誘客のための新しい連携を表す図

日本側は、自治体を軸とした地域連携が有効

こうした “地域のインバウンド” を持続的に実行していくには、まず自治体が事業化し、DMOなどを通じて地域の事業者が参画していくことが望まれます。最終的には作り上げた誘客のためのエンジンを、民間事業者が動かして収益を上げることで、持続的なインバウンドの仕組みが完成するといえます。

自治体の内部連携と外部連携

自治体の内部連携と外部連携を表した図